引伸し機の構造で最も重要な事は、強いフレームです。そこそこの高級機であれば
光源の部分は後で交換や改造する事も出来ますので、とにかく支柱やキャリア、
光源やレンズの支持部分が調整可能で克つ、すぐに狂ってしまわない事が重要です。
4x5程度の機種であれば、それ程ひどい物は無いと思うのですが、中古で
購入する場合など、昔のパンタグラフタイプの物や、オメガの傾斜型支柱の物は、
調整が難しく、あまりお勧めできなと思います。最近はベセラの安い物もよく
見かけるようになりましたが、堅牢性は優れているのですが大雑把な造りや、
キャリア周りのハウジングが小さい事が少し不満に感じるので、個人的にはあまり
好きでは在りません。国産のラッキーの450MDなどは価格的にはとても安く
パフォーマンスが高いのですが、やはりキャリア部分は小さめですので改造等
しない方には良いかと思います。

光源について

ランプハウスのシステムに就いては、色々な意見が在ります。35ミリフィルムの
ネガを多く扱っていた頃は散光式のヘッドに随分憧れた物ですが、現在使用中の
4x5のランプハウスは、ほぼ集光式です。このヘッドは電球を少し大きめの物に
変えてありますが、ランプハウス内はブラックアウトされており、ボックス型の
ダブルコンデンサーをネガキャリアのすぐ近くの位置に設置してあります。

散光式と集光式の光源による違いは、様々な形で結果にあらわれますが、これは、
フィルムの拡散濃度と平行光濃度との違いから来る物ですので、粒状の細かくて、
濃度の低いフィルム程その差は小さくなります。現在のフィルムメーカーの方向性
から考えると、通常の使用ではあまり絶対的な違いを期待できる物では在りません。
あくまでも違いがないと言う事ではなく、どちらでも使い方を理解すれば、美しい
プリントが作れると言う意味です。

集光式ランプハウス

完全な点光源の集光式の物は現在あまり使われている方が少ないかと思いますので、
コンデンサーを使った物を対象に考えてみます。最も大きな問題は、周辺光量の
調整です。電球の位置や大きさで出来るだけ均等になるように調整すると共に、
引伸しレンズも、少し長めの物を使う必要が在ります。そして倍率に合わせて電球の
調整を常に行わなければなりません。
利点ですが、コントラストの問題は、私の経験では意外と濃度の高い部分にメリットが
あります。ネガの濃度が2.0を超えるような部分は拡散率が高く、雪のハイライトの
ブリリアントな部分などは、1つ上のゾーン迄質感の表現が可能です。勿論これは
柔らかい印画紙や現像液との組み合わせで、なお克つネガのショルダーから上の部分が
きれいに伸びている場合にのみ可能な表現です。
一般的にはガンマの低いネガに適していると思われていますが、印画紙の種類が
豊富であれば、逆の発想で使い分ける事が可能になります。

散光式ランプハウス

マルチグレードの印画紙の普及と供に非常に多くのタイプが出回るようになりました。
カラーヘッドに於いてもそうなのですが、バリアブル用のランプハウスは使い易く、
余裕が在ればそろえておきたいアイテムです。マルチグレードタイプの印画紙を使う
方にはとても使用上のメリットが多いと思います。ただ注意しなければならないのは
その内部の構造で、以前には散光式の引伸し機はディテールが眠いと言われていた事の
理由でもあるのですが、ネガキャリア以下の部分でのハレーション対策には注意が
必要です。
個人的には、現在集光式タイプの物を考えてネガを作っていますが、質感上で、必要に
応じて使い分ける事がベストではないかと思います。

11/22 .03