一般的な写真処方の中で、その結果を最も左右する物は現像液なので、ここでは私の使用している
現像液を中心に説明していきます。
基本的には市販されている処理液で十分なのですが、例えば2浴処理をする場合など、含まれている
薬品の組成が完全に解っていた方が、効果や原理を理解し易いと言う理由から、複雑な処理になると
自分で調合した物を使う事の方が多くなります。
アンセル.アダムスのテキストの中には、デクトールとセレクトールソフトを混ぜる、あるいは2浴で
使用する方法や、Beers Two-Solution Formula の紹介が出て来ますが、概ねMQタイプとメトール
単薬の特徴の組み合わせによる物で、アンスコのA120にハイドロキノン,ソリューションを加える
方法等もこの延長線上にある物です。
印画紙の主流が今とは違い、グレードペーパーだった頃、中間的なコントラストをコントロールする
為には、現像液を工夫する事がもっとも簡単な方法で、その為段階的に、コントラストを変化させ
られる現像液は大変重宝な物でした。
現在ではマルチグレードの普及により、絶対的な必要性はかなり少なくなったのかも知れませんが、
ケミカルの分野はメーカーから供給された物をそのまま受け止めるのでは無く、自分の感性に合わせて
変えていける数少ない部分ですので、大変多くの選択肢がある事をぜひ知っていただきたいと思います。

市販の調合済みの薬品を使う事も多いのですが、リキッドタイプの物は特に、組成が解らない点と、
生産中止や、変更等が突然ある可能性がありますので、基準にする現像液としては個人的に少し不安を
抱いてしまいます。
その点を除けば、皆優れた現像液で、他には変え難いよさを持っています。
溶解してすぐに使えるマルチグレードディベロッパーなどは、殆どの処理に使用しています。
セレクトールソフトについてはよく、アンスコのA120と同等と言われますが、個人的にはA120の
方がややトーンに暖かみがあり、質感が無機質になるのを防いでくれるような気がします。その為
オリエンタルのGシリーズには希釈率を調整しながら、よく使っています。デクトールはD72と同等と
よく言われていますが、個人的には少し現像能力が強いような気がしています。
印画紙の場合、結果は比較的すぐに解り、フィルムよりは楽に色々試して見れますので、
次のページから、簡単な作り方と特徴を紹介していきたいと思います。

11/22 .03