最終水洗

全ての水洗処理に言える事ですが、それ以前の処理液からすぐに水洗層に入れる事はなく、一度流水でリンスする事が必要です。
どのような効率の良い水洗器でも内部の水が全て置換されるまでにはかなりの時間を必要とするので、層内の水質を劣化させる
ような事は極力避けなければなりません。特に大きい紙を扱っている時はかなりの注意を払います。
むやみに長い水洗時間は紙質の汚染や、色調の劣化、白色部分の冴えを失う原因になります。特に水質管理が十分でない環境では
異物の付着や、気泡による汚染には注意が必要です。

実際の水洗処理

水洗処理は殆ど大きめのバットを使ったサイフォンで行っています。水温は夏場はボイラーを使わずに20℃前後、逆に冬場は
ボイラーを使うので22℃前後、水量はかなり多く6L/m 以上。小さいバットやカスケードを使う時はもっと少なくなります。
一般的なコスタイナータイプの物は大きなプリントになると設置場所によっては操作しにくく、プリントの入れ替えに
手間がかかるので使っていません。水洗効率は縦型の処理の方が良いのですがプリントの入れ替えやチェックを
頻繁に繰り返すにはやや不便です。逆に言えば水平型の場合、常にプリントを入れ替えなければ完全な処理は出来ません。
写真の処理中のバットは20x24インチ、プリントサイズは16x20インチです。この処理の場合トーニング後
約60分間、最低5分おきにプリントの上下をローテーションし、水洗の完了した物から乾燥処理に移します。
注意する点は水質と、プリントのクラックで、場合によってはサイフォンの水圧だけでもダメージを受ける事があります。
水質に関しては特に冬場、水温を上げている状態では気泡が付き易くローテーションのサイクルを増やす必要があります。

夏場、水洗に使用している浄水器ですが、これは単純活性炭による家庭用でフィルター用量が大きい事が特徴です。水圧にもよりますが4L/m から6L/m 程度の能力があり、塩素を除去すると言う点では優れています。
フィルターの交換がやや面倒な点と、大きさや重量があり、設置場所を選ぶ事が問題点です。ただ家庭用と言う点でフィルターの値段が安く(3000円程度)頻繁に交換する事が出来ます。水洗以外にも薬品の溶解など基本的にはこの浄水器で水の部分を管理しています。

これは簡易型の濾過フィルターでボイラーを通している場合など水圧に負担をかける事無く使う事が出来ます。蛇口に取り付けるタイプの簡易型のフィルターを加工して自作した物です。
当初は不織布によるマイクロフィルターを装着して使うつもりでしたが、市販の浄水フィルターでもそこそこの流量を維持できるので、活性炭入りの非常に安いリフィルを入れて使用しています。
活性炭などによる効果は期待できませんが不織布が前後2ケ所に埋め込まれていてそこそこの鉄粉などは除去してくれます。

これはフィルターを分解した所。2個写っているリフィルは、手前が12時間程度使用した物で奥に写っている物が未使用のもの。リフィルは価格が非常に安い(100円以下)為、一日使用すると交換します。
現在暗室のある建物は非常に水質が悪く、わずかな使用でも鉄粉によりフィルターが汚染しているのが解ります。常に消耗品として使用する物なので、現実的な範囲で妥協する事も必要かも知れません。取りあえず汚染による事故は少なくなりました。
次のページでは乾燥方法に就いて解説します。

5/03.05