final print

左のイメージはTP4415のネガを一般的な印画紙のガンマで反転した物です。カラーポジよりは光線への適合性や感色性の分だけイメージが強くなっていますが、中間調のコントラストはまだ不満が在り、印画紙と現像液の選択で少しづつ強いイメージに仕上げて行きます。
印画紙、現像液共に多くの組み合わせを試した結果、画面右側の壁の剥離部分のコントラストを最も重視し、撮影時の薄暗い雰囲気を再現するために、壁のグラデーションを強調するように仕上げました。
最終的に選択した組み合わせはオリエンタルのニューシーガルG3をセレクトールソフトの1:0.5で120 秒処理する物で、ドアのガラスのハイライトを維持しながら最も高い中間調のコントラストを得るようにしてあります。

その他のサンプル

New Seagull G3 Ilford MG FB Bergger Prestige Forte Polygrade

上のサンプルはそれぞれの印画紙の一部ですがそれぞれに特徴が在る事が解ります。
New Seagull G3はファイナルプリントなのでセレンで調色してありますが他の物はオリジナルの状態、ベルゲールの中間調は非常に美しい
物ですが、今回のイメージにはちょっと癖が強いように感じました。フォルテのコールドトーンはメタリックな感覚が部分的に良いのですが
シャドーになるとネガとの相性が悪いようで階調が潰れがち、イルフォードは標準的と言った感じです。
このサンプルでは判断の基準にはなりませんが、多くの選択肢が在る事は分っていただけると思います。

実際のプリントへのアプローチ

印画紙の選択と供に作業そのものにも色々な調整が加わります。覆い焼きやフラッシングなどのデータは次回のプリントの資料となりますので
現像等の処理のデータと供に必ず記録します。以下はこのプリントの露光データで、殆どは周辺部への焼き込みになっています。


上の6回の行程の最後の2つはフラッシングです。これは専用のフラッシングマシンを使って部分的にプリエクスポージャーを
加える方法で、実際は非常に光量を下げた引伸し機を使い、この作業で部分的にハイライトのみのコントラストを下げる事が出来ます。

プリントの最終的な判断は、それぞれ見る人の好みによる所が多いと思うのですが、他人のネガをプリントすると言う作業も
それなりに発見があって面白いのではないかとも思います。以前ネガの作り方に苦しんでいた頃、B.ウエストンの作品を複写したネガを
プリントしてみた事が在りますが、ネガとポジとの関係を自分の範疇から広げ、違う視点から観察する事は意外なヒントを
与えてくれたと記憶しています。ただ、私のネガを誰かがプリントすると言う事はちょっと考えられないのですが、、、、

4/18 .05