印画紙の隅の方で画像が流れるトラブルに結構長い間悩まされ、原因はいくつかあった
のですが、最後に行き着いたのが、露光中のバライタ紙のうねりでした。
最初に考えたのはガラスキャリア内でのフィルムの移動で、その時はキャリアの圧力を
高くし、端をテープで固定するようにしたのですが、それでも像の流れはなくならず、
次に原因としてあげられたのは当時は、レンズの前にフィルターを入れてプリントして
していた為、フィルターを何種類か使う事による、ひずみによる像の歪みを考えました。
これは適中していたようで、今でもフィルターは絶対レンズの前に入れないのですが、
それでもまた在る時に、周辺部での像の流れが発生してしまいました。
この時はさすがに原因に行き詰まり、ふと思い付いてイーゼルを上下逆さに使ってみて
初めて印画紙に原因が在る事に気付いたのです。意外にも印画紙の動きは周辺部分に
多く発生します。特に当時は大きな紙から切り出して使っていた為、カットして暫くは
反対にそる程の変化が在り、固定されている周辺部ではイーゼルへの反発でかなり
大きな動きが見られます。

当時最初に考えたのは掃除機と金属板でバキュームイーゼルを自作する事でしたが
加工に時間がかかりそうだったので、このパネルの方法を思いつきました。これは
コルクボードの様にはがきなどを何度も繰り返し張り付けられる3M社の薄いシートを
比較的平面性の良いハレパネに張り付けた物で、このシートは色も大きさもこれしか
市販されていない為、ハレーション等結構不安な材料も多かったのですが、白では
ないのが幸いし、これと言った像のにじみは在りませんでした。

使い方はこつを掴んでしまえば意外と簡単で、空気が入らないように慎重に端の方から
印画紙を貼って行き、あらかじめ引伸し機にセットされた枠にパネルごと固定した後
マスクとウェイトをパネルの上に設置すれば出来上がりです。そして露光が終了した
後は逆の手順で全てを外し、最後に慎重に印画紙を剥がしていきます。
効果は十分バキュームイーゼルを超える物で、完璧な平面性を維持できるのですが
サイズが1種類なのと(45x60)、保管中や使用中に埃やゴミが付着して使えなくなる
事で、消耗品として使う事になってしまいます。バキュームイーゼルと比べると非常に
手間は掛かるのですが、なんと言っても制作費が安く、横浜での展覧会迄は使用して
いました。現在は中古で安いバキュームイーゼルを入手し、用途はなくなりましたが、
このアイデアは現在でも十分使用にたえる物です。

11/24.03