調合に必要な物は簡単な天秤などで、一般的な処方であれば、拌量が100gの物で十分です。
感量に関しても100mgで十分でさほど厳密に考える事はありません。この写真は私が
実際使っている物で、40年近く前の物ですが現在の物と比べても特に狂いはありません。
処方中、薬品の量がかなり細かな数字で示されて、精度が必要なように感じられますが、
殆どの場合、もとの処方がガロンやパイントで、リットル表示にした時に数学的に
生まれた物ですので、それほどの精度が必要な場合は、実際極僅かです。
PQタイプの処方の場合や、酸化剤を測る場合などは幾らか厳密になる場合もありますが、
ここで紹介する、私の使っている処方は皆、簡単な物ばかりです。

現像主薬

「メトール」
MQタイプなどに使われる一般的な現像主薬で、価格もかなり安い物です。100g当たり、
700円程度で色々な写真メーカーから市販されています。各社商品名は異なり、国内で
一般的に販売されているフジの物はモノールの商品名で、他のメーカーもそれぞれ違った
名前で売り出しています。MQの主薬である事と、モノメチル、パラ、アミノフェノール、
サルファイトに類する薬品名が書かれていれば間違いありません。
薬品の状態は、細かい結晶、あるいは細い針状の結晶体で、白もしくは微かに色が付いて
いる場合もあります。
単薬で使用しても非常に優れた現像主薬で、フィルム、印画紙共に多くの処方があります。

「ハイドロキノン」
MQタイプのQの方の主薬がこのハイドロキノンで、価格は100g当たり400円程度で大体
メトールの半額ぐらいの値段で売られています。メトールと比べ調合時の使用量が多い為
少し大きめの物を購入した方が良いかも知れません。薬品の状態は、白い結晶でメトール
よりもかなり比重が軽く、同じ量であれば、大きめの薬包紙が天秤に必要になります。
一般に単薬で処方される場合は少なく「緩性現像液」などと呼ばれ、高濃度の、硬調な
処理には適していると言われていますが、実用性は微妙です。
私自身は、この性質に、さらにタンニング作用と言われる、濃度が上がるにつれて銀粒子が
硬化し、像のにじみが少なくなる点を利用しようとして、ハイドロキノン単薬のAgfa120
を試したのですが、非常に感度が低く、処方を変型して少しずつアルカリを強くしても
一般的に好ましい結果は得られませんでした。
この実験は、引伸し機を通す事で黒の細い線画の部分に発生する僅かな像のにじみを無くす
為に行っていたのですが、空に向う枯れ枝のシルエットなど、コンタクトプリントのような
繊細な黒を出す事は最後迄できず、引き伸す事の限界を感じる結果となってしまいました。

「フェニドン」
PQタイプなどに使われる現像主薬で値段は25gで1200円前後とかなり高価です。
しかし、単独で使う場合を除き、使用量はほぼメトールの1/10以下ですので、価格が
気になる事はあまりありません。商品名はフェリドンなど近い名前で売られており、
間違える事は無いと思いますが、PQ現像主薬である事と、1フェニル、3ピラゾリドンに
類する薬品名であれば間違いありません。
薬品の状態は、少し黄色見がかった色か、薄い色で少しダマ状の解けにくい薬品です。
注意しなければならないのは、実際アルカリ性の物には解けないので、フェニドンだけの
状態で完全に溶解してから他の薬品を溶かさなければなりません。単薬で使用する場合は
かなりの量を使用しますので、状態によっては、一度薬包紙の上で、解け易く潰しておく
必要がある場合もあります。
ハイドロキノンまたは他の現像主薬と組み合わせる事で超過生成作用があり、急激に
現像能力が高まります。その為調合時には不注意な混入が無いように注意も必要です。
習慣的な物なのですが、印画紙にはあまりPQの現像液は使いません。あく迄個人的な
好みなのですが、幅広い処方と、メトール単薬との組み合わせが可能なMQの方が、
使い易く感じてしまいます。
フィルムの場合には、単薬を含め多くの優れた処方がありますので、後で紹介します。

下の写真の薬品はほぼ5種類で、おおまかにはこれだけで殆どの処方を作る事ができます。
「無水亜硫酸ソーダ」

殆どの処方に使われる一般的な保恒剤です。価格も安く写真の物は5kgで1800円程度です。現像液以外にも、水洗促進浴などにも使用しますので、いつも大量に常備しています。

「ナボックス」

一般的なアルカリ剤でフジの商品名。コダックのコダルクの代用品。

「炭酸ソーダ」

やや強めのアルカリ剤で、一般的に印画紙の現像液に使用する。無水の物と、1水塩がある。1水塩の方がやや一般的で1.17倍で同等となるが、できれば推賞される方を使用したい。

「ホウ砂」「ホウ酸」

一般的な弱アルカリ剤で、フィルム用の現像液に少量加える事が多い。印画紙の処方にはあまり使用しない。「ホウ酸は」さらに弱いPH調整剤でやはりフィルム用の処方に使用する。

「ブロムカリ」

一般的なカブリ防止剤または現像抑制剤で、フィルム印画紙共に多く用いられる。少量で現像抑止効果があるので計量には注意が必要。


11/22 .03