印画紙の裏面へのティシューのタッキング

ここでは印画紙の余白を切り落とした状態で、イメージのみをマウントする方法を紹介します。
この状態のプリントはオーバーマットをかけた時に見栄えが良く、適度に残されたベースボードの余白にサインやエディションを
書き入れるのに適しています。余白を切り落とす事に関しては賛否両論ですので最後ににコメントを記入してあります。

まずはティシューを写真の大きさに合わせて切り出します。イメージに対して十分な余裕がある方が作業が楽でしょう。
ロールのティシューから切り出した物は写真のようにカールが残っていますので、印画紙と反対にお互いが離れるように
セットする事で、後にベースボードへタッキングする作業が楽になります。
タッキング箇所はオレンジ色のマークの4ケ所、順番は特にありませんがティシューの平面性に
気を配り引きつれる事のないように注意して下さい。
タッキングアイロンの接触部分は滑らかな局面に加工してありますが、決して力を入れず、
重さだけでゆっくりなぞるような感覚の方が痕が残りません。
厚手の印画紙でもタッキングの痕が表から見えているプリントをよく見かけますがこの点を注意すれば大丈夫です。
1ケ所の面積も最低限にとどめ2cm程度長さがあればカットの途中ではがれる事はめったにありません。
とにかく印画紙に対して裏からできるだけ力を加えない事が重要なポイントです。
4ケ所全てを処理終わったらティシューを軽く引っ張ってみて剥がれない事を確認して下さい。もし剥がれた箇所が
あればその部分をやり直します。

4ケ所のタッキングが完了したら表面を上にしてカッティングボードの上でカットします。
ここではティシューと印画紙を同時にカットしますのでガイドの定規などを軽く固定した方がカット時のミスが少なくなります。
ティシューは表面がロウのような材質で出来ていますのでカッターボードの上でも作業中に滑り易く、
厚手の印画紙を切る時などは写真を傷つけないように注意が必要です。

写真を上手く切る為のこつのような部分になりますが、印画紙が厚くなる程、カットした写真のエッヂが引きつれたようになり、切れ味の悪い刃物でカットしたように仕上がってしまう事があります。
もちろんとても良く切れる細いカッターを使うのですがそれでも印画紙が厚くなると、この現象には悩まされます。エッヂが黒いプリントの場合などかなり目立ち、紙が厚ければ厚い程、更に目立って見苦しくなります。
いろいろと工夫してみたのですが、これには良い方法があります。カットする写真のイメージをまず0.5ミリ程余裕を残して大きめに切り、2度目のカットで削り取るように残した0.5ミリを切り落とします。
こうすうる事によって切り落とす表面への抵抗が少なくなり、印画紙の表面が引っ張られる事は無く、鉋をかけるように軽い抵抗で、安全に正確なカットが出来ます。
使用するカッターですが、最初に切る時は少し刃が厚くても刃先の折れにくくまっすぐ切れる物、そして仕上げに切る時は刃が薄く、繊細で切れ味の良い物が良いでしょう。
折れた刃先は細かな物でも、カッターボードに付着して、裏返しにして作業している時などに写真の表面に思わぬダメージを与える場合があるので注意が必要です。

4辺すべてカットし終わったら、ベースボードへのタッキングに入ります。この状態でのプリントは角などが非常に傷付き易いので特にこれからの作業は慎重に行います。

次のページでベースボードへのタッキングに就いて解説します

印画紙上の余白に就いて

ドライマウントには限りませんが、写真をマウントする場合、印画紙上の余白を切り落とす場合とそうで無い場合があります。
もちろん保存性と言う意味では、余白をとってしまう事は好ましくありません。
これは一般的に印画紙上の汚染やダメージは周辺部から始まる事が多いからですが、余白を切り落とされた周辺部分は、
直接裏と表が外気にさらされる為、化学的な汚染と、剥離、キズなどの物理的なダメージを受けやすく、
余白があれば、汚染は余白から進行し、イメージそのものが汚染される迄に、幾らかの余裕を与えてくれるからです。

逆に、余白を切り落とした場合のメリットはと言うと、これは視覚的な画面そのものへの影響です。
美しく仕上げられたファインプリントの場合、画面のイメージに印画紙そのものの白さが残されている部分は極僅かで、
必要最低限のブリリアントな部分のみに、その効果として残されています。
もし、周りに明るい部分が残っているとその影響で画面の中の白さがくすんで見えてしまい、結果的に心理的な意味で
ダイナミックレンジを下げる事になってしまいます。

これはゼラチンを使ったシルバープリントの性質に大きく関わった部分だと思うのですが、
個人的にはプラチナなどのオルタネィティブな技法の場合はまったく逆の影響を感じています。
つまり逆にイメージのどこかに画像の含まれていない紙質そのものが残っている事によって、ぐっと表現の幅が広がるように
感じるのです。これはかなり絵画的な解釈なのかも知れません。紙質が見えていないプリントは、
何か、全ての部分が塗りつぶされ、紙質が見えなくなった水彩画のような物足りない感覚なのでしょうか、、、、

5/05 .05