フラットニング処理

ファイバーベースの印画紙を美しく仕上げる為に、この作業は必ず行います。
左の写真のプリントはFinal process の方法で乾燥させた物で、かなり良い状態でもこのように全体が波打っています。
右側の写真はフラットニング処理を済ませた物で表面に美しい光沢が生まれ全体にフラットな状態が保たたれています。
ファイバーベースの印画紙はベースが紙ですので、水洗行程を終えて乾燥すると、普通の紙のように全体にしわを帯び
ゼラチンの美しい光沢を見る事は出来ません。
フラットニング処理によって熱と圧力を加える事で乾燥を均一にし、紙質をきれいな平面にする事でゼラチン本来の
光沢を生み出し、それによってプリントの白と黒はより大きなダイナミックレンジを生み出します。

ドライマウントプレスを使ったフラットニング処理

基本的にはドライマウントでマウント処理をする場合と同じですが、写真を挟むベースには2ply 程度のコットンボードか、神経質にならないのであればケント紙等を使用します。
上下とも2plyのボードを使用する指示もありますが、ゼラチンに接する面にはカバーシート等をかけた方が光沢がきれいに仕上がります。このカバーシートは専用の物でも良いのですが、フラットニングに使う場合、シリコンでコートされた物よりは、幾らか水蒸気を通過させる物が良いようです。
私はインターリービングに使う、ピュアガードを使っています。滑らかな素材のケント紙であれば直接挟んでしまっても、アーカイバルな処理としては少し不安はありますがきれいに仕上がります。
マウントする場合と同じようにゴミや異物の混入には気を使い、使用する全ての紙にはわずかな折れ痕があっても、全て印画紙に痕が付きますので慎重にチェックをする必要があります。それと供に、これらの紙類も事前にプレス機で十分に乾燥さておくことも安定した処理には必要です。

圧力は通常のドライマウントと同じ、温度もドライマウントと同じ程度の160F〜200F前後、時間は印画紙の種類や状態にもよりますが、60秒程度を基本に不足を感じたらもう一度処理を行います。

ここ迄の処理で殆どの印画紙はきれいな平面を取り戻しますが、それでも全体にわずかなカールが残ります。通常この反りは、時間や湿度の安定と供に少なくなりますが、これは殆どその印画紙の癖に近い物で、完全に取り除く事は出来ません。
殆どの場合プレスを済ませたプリントは自然に温度を下げてやり、表面の湿度等を安定させて保管しますが、特ににカールが残った場合などはクーリングウェイトでプレスをかけながら冷ます場合もあります。

このクーリングウェイトは5ミリの鉄板を2枚張り合わせた物で重量は20キロ、マウント作業などに使用する物ですが、ホットプレスの終わったプリントをこのウェイトでプレスする事によって幾らかカールが少なくなる場合もあります。
クーリングウェイトは Seal 社からも販売されていますが基本的にはただの鉄板ですので自作した物で十分です。製作方法と他に、幾つかの使い方がありますので、次のページで紹介します。

5/04 .05