作者近況2011 2011年1月 2010年11月 2010年09月 2010年7月

02/27 昨日のプリントをチェック。案外いけそうな気がする。今の心象では、周りにグレーが入っている方が見栄えが良い。

午後まで昨日同様の1984年のネガを伸ばしていたが、、仕上げるのは断念した。今日はあまりにも体調が悪い。いろいろと下準備のいるプリントだったが、コンディションの良い時に仕上げたい。1984年頃、フィルムを扱うスキルが一気に上がったように感じる。スポットメーターを使ったフィルターワーク、様々なフィルムによる被写体の多様化、、、

高山植物のコケの上に倒れた小さな木。ミニチュアの白骨林のような造形だが、コダックのNO32フィルターを使用したネガ。露出は同じフィルターをスポットメーターに装填して測る。露出計が正確になり、かなりのショートスケール、、、ものすごくコントラストを上げている。今回このネガは、アグファで無く、PXPをチョイス。マルチグレードの紙は、フィルターNoを低く設定すると、再高濃度が上がりにくい。ネガの情報量が同じなら、、、、No3前後のフィルターで仕上げられるネガを選びたい。さらにシャドーのみ、No5のフィルターで露光し、ディテールを残しつつ再高濃度を上げる。少ない銀量を、乳剤の全てを使う事でカバーする。そう考えてだが、、、、、

マルチグレードを使うようになって長いが、最良のアプローチはまだ判らない。頭で考えながら試行錯誤するが、結果は一様では無い。グレードペーパーの感覚が抜け切って無いのだと思うが、、、、、いつかは使いこなせるようになるのだろうか?

明日からスタジオで撮影だが、今日の夜にスタジオに入るか、、あすの夜明け前に出かけるか、、、まだ悩んでいる。車で出かけるので、夜出るにしても、遅い時間でないと行楽帰りで混んでいる。朝出るとなると月曜の早朝は混むので、夜明け前に出なければ撮影に間に合わない、、、、、、そして体調も良く無い、、、、


02/26 朝から1枚のネガ、1984年のイメージをプリント。かなり疲れた。

霧の中のイメージ。このイメージはPXPのネガが3枚、アグファパン25のネガが一枚、ほぼ同じイメージで作られている。プリントノートによると1984年当時からずっとアグファのネガでプリント。アグファの25は現在使っているローライのオルソと通じる所が多く、シャープだが、トラブルの多いフィルムだった。フィルムそのものに起因するものではないが、このネガも、ダストスポットが多い。

汚染が出やすいので白っぽいものを撮影する事はあまり無かったが、、この時、信州の山奥で偶然深い霧に包まれて、一枚だけアグファのフィルムでも撮影した。当時、プリントにこのネガを選んだのは、そのシャープネスからだと思うが、今なら、PXPで引伸し機の光源を絞れば同じくらいシャープに仕上げる事は可能だろう。あえて、ダストの多いこのネガからプリントするか、PXPの良好なネガを使うか、、、、、考えた、、と言う程では無いが、、ちょっと迷って、ダストの多いアグファのネガでプリントした。何か、、、トラブル、、あるいは他の可能性に目覚めたらPXPのネガを試そう。

プリントに、迷いの多いイメージで、当時のプリントもいろいろな種類、数十枚が残っている。今回も、気持ちを絞り込んで仕上げたが、明日になったらまったく違うイメージを求めるかも知れない。昔はまったパラドックスの1ページ目???

技術的にはまったく違うアプローチを試みたが、以前伸ばしたイメージを追っている。当時の結論より、黒は浅く、光は、少し明るくなった。ただ、、、当時も、最初はこれで、、、ここからだんだん暗くしていったような気もする、、、、、、、、、


02/25 昨日、今日と2日間、同じネガをプリント。昨日は余白を付けたプリントで、今日は余黒を付けてプリント。コンタクトプリントや、CBダイレクトならともかく、通常のネガプリントで余黒、、、と言うのはあまり見かけない、、、、ノートリミングのフィルムベースぐらいなら見かけるが、、、、

ゼラチンシルバープリントのアーカイバルな処理において、プリントの周辺(余白など)は、いろいろな意味を持っていて切り落としてしまうのは好ましくない。これは、プリントの汚染が周辺部から始まる事が多い事、プリントの取扱い上の安全性など、いろいろな要素が考慮されているわけだが、作品を鑑賞する上ではちょっと、、、と思える時がある。余白の部分にサインやエディションが書き込まれている事も多いので、フレームのオーバーマットは、余白の部分が見えるようにカットされる。はたまた、最近のコレクターは、生の状態のプリントを求める事も多い。

つまり、作品のイメージとともに、印画紙の生地の白が、画面の周辺を覆ってしまう状態だ。これが気に入らない。

イメージの中の、白と黒はとても相対的で、周辺に最も白い部分があると、イメージの中の白がくすんで見えてしまう。たとえば、、この部分が真黒でも良くない。そんな事で、、、いろいろな濃度の黒(グレーだが)を周辺に付けてプリントしている。、、、しかし、、、どうにもスッキリしない。


02/24朝 昨日は何とかノルマをこなした。途中から体調が悪くなり、薬を飲んだり、、、何度か横になったり、、、と、捗らなかったが、2台の引伸し機の調整、2種類のイーゼルマスクを作った。マスクは印画紙の上にのせて使用し画面以外の余白を作る。サイズを変更できるユニバーサルタイプは、画面の直角が不安定で、四隅に近い部分にどうしても隙間ができてしまう。プリントのオーバーマットを作る要領で黒の厚紙を加工した方が使いやすい。もちろんサイズ調整が出来ないので、各サイズ必要だが、、、そして、バキュームのイーゼルには空気の漏れを押さえる意味でも必要。

テストプリントに使用していたユニバーサルのイーゼルを外してプロバックに付け替え、細かな平行調整。作りが大柄なダーストの138はどうしても狂いが出てしまう。同じダーストでも1200はしっかりしているが、今回は点光源のバリポイントに使用。この調整には時間がかかった。今までメインだったDevereはLEDの完全散光のヘッドを、、、と、言う具合。

どんどん悪くなっていった体調だが、作業が終わって音楽を聞いているといくらか楽になった。久しぶりにチェロのアルバムを何枚も聞く。食事の間もずっとかけていたのだが、、、、今度はオーディオが壊れて、、、なんとも、お粗末な感じ。


02/23朝 昨日少しさぼりぎみで夕方から食料品の買い物に出掛けてしまった。今日は引伸し機に手を付けたい。昨日、今回プリント予定のネガを全てチェックした。これがなかなかの作業で、30年以上前のネガは、その状態もけっこう気になる所だったが、今の所まったく問題は見当たらない。特定のフィルムに発生したビネガーシンドロームは、その種のフィルムにのみ極端に現れ、コダックは、まったく影響がない。アグファのフィルムはかなり酸の匂いがするが、ベースに異常をきたす程ではない。ほっとする。

ネガとともに探さなければならなかったのが、プリントデータを記入した資料。やはり古いものは30年前の物だが、全て揃った。今見てみると、とても細かく書き込まれている、、、そしてプリントの行程がとても多い。ほとんどの紙がグレードペーパーで唯一のマルチが、ポリコントラスト、ポリファイバーと言う時代だから現像液の調合や処理、引伸し機の光源まで、細かくコントロールされ、常に3種類以上の現像液を使い分けていて、、、2浴の処理が良く出てくる。

もちろん、今は手に入らない印画紙だし、引伸し機も違うのでまったく違うアプローチになるが、、、、、、、当時の感覚、特に、、、一枚のネガを撮影時の意図に、あくまでも執着して執拗にプリントする、、、、、その気迫は今の自分にとても刺激になる。そんな集中力が今の自分にあるのか??

ネガの作り方も、まったく違う。30年以上前はスポットメーターはとても高価で、頼り無い反射式に、入射式の露出計を組み合わせて使っていた。たとえば入射式の露出計のみを使っていた頃はユニークな測り方をしている。太陽に向けた直射光を入射式で測り、その180度逆を同じ方法で測る。そして露出は、太陽光無しの部分から決定し、現像時間は両方の明るさの差から割り出す。晴天下ではPXPを使っていたので、この方法は十分すぎる程良いネガを生んでいる。ネガを見ていると、、、いつのまにか時間が経ってしまう。


02/22 昨日、作品のセレクト、レイアウトを終えた。結局ほぼ1日掛かりだが、やっと具体的な形が見える。初めてのギャラリーだと、いったい作品を何点飾れば良いのか?大きさは?作品の区切りは?など、、、、見えてこない部分が多く、自分は、レイアウトを決めてしまうのが一番よいと思っている。もちろん最終決定ではないにしても、こういうふうに作品を飾る、、、と言う指標がないとまず、、、セレクト出来ない。今週中にDMの絵柄を考える。

昨夜はなかなか眠れず、夜中にスコッチを飲みなおしたりしたが、今朝はいたって爽やかだ。とりあえず天気が良さそうなので洗濯。今日は本格的なプリントに向けて各サイズのマスクを作ったり、引伸し機の調整をしなければならない。


02/21朝 昨日に引き続き作品のセレクト。昨日までMacで作業したが、効率が悪く、今日はWinに切り替える。やっと見えてきた感じ。ギャラリーの1階と地下を大きな区分けにして、作品を何組かのグループに分けている。私は、けっこう決め込まないとプリントできない性分だ。今回のギャラリーは重厚なフレームを使用するので、作品同士の相性はあまり気にならないかも知れないが、それぞれの大きさや、流れは重要だと思う。

80年頃は、複写して作ったレイアウト用のカードをいろいろな大きさで作り、ギャラリーの模型を作って張り込んでいたが、、、今は、モニター上でシュミレーションする。時折実際のプリントを数枚机に並べて相性をチェック。今でもほとんどの作品はレイアウト用のカードやポジがある。さすがにここ10年はデータだが、、、、今週、スタジオに出掛けた時に出力する予定。

昨日はフラットニング、タングステンで作品の複写、画像の加工など、、、作業も多かったが、今日はゆっくり頭の中で組み上げたい。


02/19 個展のセレクトに必要な素材を全て揃えた。まだ他にも光を通していないネガはあるのだが、それは、困った時の為に残しておこう。セレクトは明日、レイアウトを考えながら決めていきたい。

けっこうな期待を込めて作ったバキュームのネガキャリアだが、結局ニュートンリングが多く、今回は使用しない。一般的な、上面のアンチニュートングラスに張り付ける方法でなければ、ムリなのか、、、グラスは無いわけでは無いが、、とにかく心象が良く無い。国産の物だからかも知れないが、きめが粗く、クリーニングのたびに、ムラができる。あくまで他の方法を考える、、、あるいはグラスを自作するか、、、、今回は、下面のグラスにネガをはりつける方法を工夫して何とか乗り切る。

同じく製作した、ペーパーセーフは最高の出来ばえ。こんなに便利なものならもっと早く作れば良かった。作業スペースがぐっと広くなり、印画紙に気を使わない。これを使ってなかったのは私だけ???

昨日、ビックカメラに頼んだ品物が昼過ぎに届いた。あまりの早さにびっくりだが、、今回はあまりにも梱包が粗雑だ。印画紙とリキッドの薬品が大きな段ボールに緩衝剤無しで放り込んである。けっこうな重量のボトルがぶつかってで印画紙の箱が変型している。こんなにスカスカでゴロゴロでは薬品のフタがゆるんで液漏れしてもおかしくない。何か詰め物がああっても良いのでは、、、、、今回は印画紙も箱入りなので、ダメージは無さそうだが、、、、

作業中、壊れているエアコンのリモコンを何度も操作してしまう。今壊れなくても、、、と思うのだが、しばらくはセラミックヒーターを持ち込んで作業。修理するかどうか迷っているが、、、早くなおさないと電気代はがバカにならないか、、、、、


02/18朝 未明からけっこうな嵐になった。ガラスに吹き付ける雨と風でガタガタと大きな音がする。夜が開けたらエアコンの室外機を修理(なおせるとは思わないが)のつもりだったが午後まではムリかも知れない。

昨日、試作したバキュームのネガキャリアだが、、、接着したノズルのシリコンはまだ乾いていない、、、とりあえずポンプに繋いでテストをしてみた。

はたしてこの方法でネガの平面性は上がるのか?ポンプの容量はどのくらい?ポンプの脈動はどのくらいネガに伝わってしまうのか?吸着の強さによる乳剤面のニュートリングは?テストに使ったのは撮影用のバキュームホルダーの電池式のポンプ、、これで吸着できれば、キャリアとしては上出来だが、、、

結果的に、吸着は問題ない。ただ、片側から空気を吸うのでネガの左右で、圧力は異なるようだ。これはノズルを両側につければ解決するが、、、ポンプの圧力をあげる事でも改善されそうだ。大日本の真空ファンが1台余っているのでもともとそれを使おうと思っていたのだし、、、、問題は、、ニュートリング。これはネガの粒状によって発生の度合いが違う。クリアフィルムでは、全面に発生した。

シリコンが完全に乾いたら実際のネガでテスト。いくらかの不安はあるが、、使えれば明日から使いたい。


02/17 明日の予定を繰り上げて撮影終了後すぐにスタジオを出る。あまりに慌ただしくバックアップなどに少し不安はあったが、早く戻ってやらなければならない事が沢山ある。その一つがダーストのガラスキャリアのバキューム化。昨日東急ハンズに頼んであったガラスのカットを渋谷で受け取り急いで帰宅。作ってみなければうまくいくかどうかまったく不明。空気を吸い出すノズルの部分は、昨日スタジオで完成させた。

8時前に自宅に着きすぐに暗室に入るが、室温が低い。出かける時に、エアコンの設定は17度にしていたが、10度くらいしか無い。エアコンが壊れた。いろいろ試したが復活しない。明日、明るくなったら室外機の内部をチェックする。、、、トラブルが続く。繰り上げたスケジュールが、、、まったく、、、追い付かない。

しばらくはエアコンの事でパニックになっていたが、、、いざとなれば、、灯油を燃やせば良い、、、気を取り直して本来の作業に入る。まずはガラスキャリアの制作。ガラス板にバキュームのセットをシリコンで接着する。、、、そしてペーパーセーフの取り付け、、、、、試されていのか????


02/14 昼の電車でスタジオへ。今日までに、個展の作品のセレクトを全て終わらせたかったが、いろいろと中断し、大雑把な構想だけで具体的には見えていない。しばらくスタジオでの仕事が続き、週末までには区切りを付けて戻りたい。

フィルムの現像を全て終わらせたり、サンプルをプリントしたり、ペースは早いのだが、それでも何か、、、追い付いていない感じがする。昨日は遅くまでネガをチェックし濃度を測った。黒と白の境界で濃度差が大きすぎる、、これは通常の引伸ではハレーションを生みシャープネスを疎外する。とにかくトラブルが多い。恐らく、、、新しい事は何もしていないのだが、写真のテクニックはあまりにも個人的で、被写体を変えただけでまったく通用しなくなる。そして、なんだか同じようなイメージに固執する、、、そこから出たい、、、、


02/13 暗室の引伸し機の台にペーパーセーフを作っている。昨日まで続けてプリントしていたが、いくつかの用事が複合的に動いているので、中断を余儀なくされる。今日はプリントでは無く、効率をあげる為の雑用をいくつかこなそう。

随分前から計画していたが、なかなか取りかかれなかった印画紙を収納しておく引き出しを作る。印画紙は開封されると外気に触れ、しばらくのあいだ表面が不安定になる。できる事なら数分前には袋から出して外気に触れさせたい。そうした意味以外にも、作業中一枚ずつ袋から出していたのでは効率が悪い。光が入らないペーパーディスペンサーのようなものがあると便利。

作業台にはそのスペースを確保してあったのだが、いざ、作るとなると、遮光性の為精度が必要で、めんどくさくなってしまう。一応図面を仕上げてホームセンターで木を切ってもらい箱の部分だけはやっと組み立てた。後は作業台にレールを取り付け遮光用の扉や、目貼りをすれば完成する。内側には、印画紙の袋のビニールを切って貼る予定。20x24インチの大きさに作ったが、大きい事で不都合があるのかどうか、使ってみなければまったく判らない。

他にも最近気になっている事がある。オルソフィルムの強いカーリング。ニュートンリングの起きやすい素材で、キャリアの圧力をかけるわけにいかない。バキュームのキャリアで無ければダメかも知れない。ダーストの138用にバキュームとなると、、自作するか、、、最近、ここまで平面性の悪いフィルムは珍しい、、、困ったものだ。


02/10 昨日、狂ったようにプリントし、やっと作品の指針を得た、軟らかい紙に軟らかい処方、やはり最良の方法を選ばなければならなかった。湯水のごとく印画紙を無駄にして、、、約1年間の撮影の中、あまりにも結果を生んでいない事が、物造りへ自信をすっかり喪失させていたのだと思う。もちろんテストプリントだが、ネガの方向性が自分の創作に、かけ離れたものでない事がやっと判ってきた。光はここにある。

その中でやっと、新しい作品展の方向を定める。今日は、気分をあらためて、個展のタイトルを決め、紹介文の原稿を書かなければならない。とにかくこれが苦手だ。しかし、仕事に追われながら、電車の中で書いていた昔とは違い、海の見える自宅でのんびりしながら、、、という具合なので、正直、苦痛と言うわけではない???今までの展覧会の資料などを見ながら、何を伝えたいのかを少し考えた。解りやすく、、簡単に、、、そう言う事が大事だと思うが、、、、タイトルが決まらない、、、、

今回の展覧会は、抽象的な作品が中心を占める。本来なら2003年に日本で開く予定だったが、受け入れてくれるギャラリーが無く、結局翌年からNYに売り込む事となった。その翌年にはチェルシーで個展となるわけだが、作品はインパクトの強い、廃虚の作品に決まり、一連の抽象的な造形は、お蔵入りしたままだったのである。これらの作品への思い入れは強いので、最良のギャラリーで、、、それが今回の展覧会。さらなる年月で、作品の表現力、レパートリーは膨らんでいる。

この日記を付けはじめた10年程前、増え続ける仕事と、いつまでもこの生活は続けられないと言う、気持ちのいら立ちから、スタジオを閉鎖し、創作に打ち込もうと思っていた。そんな自分の経過を、記録したくて日記を付けはじめたわけだが、、、そんな考えも潮がひくように萎れていき、結局、まだ、スタジオは維持しているのだが、、自宅は処分し、この御宿に移り住んだ。そして、創作だけは当時の意志のように、ほぼ毎日続ける事になる。当時とはまったく逆の、減り続ける仕事が原因かも知れない、、、

文章について思う。自分のもっとも苦手な表現手段。だからこそ、、、当時記録しようと、思った。他のどんな方法よりも、、、吐き出すように書く事が、自分にとって本当の記録になると、、、、、、


02/09朝 昨日ほぼ1日、新しいネガをプリントしてみたが、あまりにもネガのイメージが印画紙に現れなくてすっかり気が滅入ってしまった。ネガの濃度域がいつもと違うので今日は違う現像液、違う印画紙の組み合わせを試す。

けっこう長い創作期間で、まだ一枚も形にメドが立っていないのに、息苦しさを感じる反面、今日は何とかなるのではないか、、、そんな思いは、、、まだ残っている。一点でも今回の展覧会へのメドが立てば、、、勢いがつき、昨年の作品も何点か加えられるのだと思う。

とにかく風景、漠然としたテーマだが、、、難しい。過去の作品にあまりにも名作が多く(もちろんアメリカの作家だが)学生時代から、敢て避けてきたのが何となく思い出されてきた。光線のダイナミックレンジも広く、変化に富んでいて自分のスキルを超えている。どこまでプリントに要求されるのだろうか?


02/08朝 昨日全てのフィルムの現像を終えた。1ヶ月の撮影を考えると随分あっけない感じだ。特にハンガーでの処理は機械的で、手作業のトレイとは感覚が異なる。

朝、全てのフィルムに目を通す。ハンガーで処理する事のメリット、、、汚染の出やすいオルソフィルムに適しているかも?という理由からだが、、、とにかく原因不明の汚染が多かった。ぼやけたようなブラックスポット、気泡のようなシミ、必ずあるピンホールダスト。原因不明のスジやムラ。必要以上に濃度をあげるので誇張されている場合もあるが、他のフィルムにくらべると桁違いにトラブルが多い。

いくらかは改善されたのか?細かくチェックしていないので不明な点はあるが、前回まで気になっていた、ぼやけたようなブラックスポットは見当たらない。そして気泡のようなシミも今の所無さそうだ。その分ハンガーに起因するムラはある、そしてピンホールダスト、、、これはまったく変わらない。このダストは未露光の開封直後のフィルムにも微妙に付着している。顕微鏡レベルの物なので普通は気にならないのかも知れないが、、けっこう数が多い。製造行程、カットやフィルム間のはさみ紙から付着するものかも知れない。

これからさらにネガをチェックし、今回の展覧会に使えそうなものをセレクトする。何とか一点、できれば2点は加えたいのだが、他の作品に負けない抽象的インパクトを持った絵柄となると、、、自然の造形、特に、クローズアップやもともと抽象的なモチーフでなく、風景に属するものから、特別なカットを加えたい。

突風で、カメラが激しく揺れ、使えるカットはとても少ない。何時になく一つのイメージを何枚も露光しなければならなかったが、、、そう言う点ではハンガーの処理は楽だった。一枚ずつ長い時間をかけて処理していて、全て使えないとどんどん気持ちが癒えてしまう、、、、、


02/06 夜。トレイでの現像、そしてハンガーでの処理、、、オルソフィルムの現像をはじめた。POTA処方はトレイで現像し、D96系の処方はハンガーで処理する。今朝、底部にフィルムゲートを取り付けたポラロイドのハンガーは、一見うまくいったように見えたが、高濃度のネガになると、また、ムラが目立つようになった。2枚のネガがダメになった。

現像時間が長く、攪拌サイクルの少ない処方では、ハンガーの処理は相性が良いのだが、やはり、、、、乳剤面の間隔が不安定だと思われる。さらなる改良として、、、今度は、ハンガーの上部にフィルムのカールを大きく押さえ込むストッパーを追加した。

これは少し効果がありそうだ。当たり前の事だが、やっとフィルムが均等に並びはじめた。、、、、最低限のムラに押さえたい。ダメになったネガもあるが、この処方にはやはり、ハンガーの処理は効果的だ。明日も続ける。

北海道での撮影を思い出す。いつまでも止む事の無い吹雪、、、やっと撮っても処理のスキルが追い付かないカットもある。漠然とした、、、テーマ。うまくいかない。

写真において、、、自分は幸福を得ると確信している。ここで、作り続ける事が、、最大の幸せだと感じる。何かの、追い風を感じ、、、気持ちが加速している。休めない。


02/06 もうすぐ午後になる。昨夜遅くまでフィルムの現像をしていてけっこうな腰痛だったが、少し眠ったら嘘のようにおさまっている。今朝は早くから昨日のフィルムをチェックし、次の処理の準備を始めている。

昨日、オルソフィルムの現像に取り掛かるつもりだったが、今回のフィルムはオルソがメインで、テクニカルパンはおさえの感があるので、ハンガーでの処理の情報収集の意味も込めてテクニカルパンの処理を全て終わらせた。

このフィルムは現像ムラになりやすく、ある意味ハンガーでの処理には向いていない。アクロスの時から気になっていた帯状のムラは、このフィルムでテストする事でとてもハッキリ現れた。いくらかダメにしてしまったカットもあるが、とても良い結果の物もある。いろいろな条件が複雑に作用している。

ハンガーがフィルムを固定している部分にムラができるのはしょうがないが、フィルムを押さえている部分以外、このハンガーの特長の、それぞれのフィルムのあいだの仕切りあたりに帯状のムラが出来きる。これだけはなんとかしたい。攪拌の方法や、現像中のフィルムの位置などいろいろ工夫してみたがあまり効果がなく、最初は現像不足として濃度の低下で現れたムラは、場合によって濃度が高くなったムラとして現れるようになった。

その手のムラの起こりにくい処理に使えば問題ないと思うが、、、今の所これから処理するオルソフィルムで良い結果が出るかは見当がつかない。とにかく、、、いくらかの防護策としてハンガーの底にフィルムゲートを取り付ける事にした。ムラが多く発生するのは中央から2,3枚目のネガに多く、中心の2枚には今の所見当たらない。この点から仕切りによるものだと考えるのだが、、

フィルムゲートを取り付ける事によって、処理中のフィルムの間隔はいくらか均等になる。底を固定すれば、、上の部分の動きが制限される、、、そんな考えだが、、、

今やっと4個のハンガー全ての加工が終わった。午後からはいよいよオルソフィルムの現像に取り掛かる。


02/04 ネオパンアクロスの現像。このフィルムはいろいろな意味で神経を使わないので、昨日の疲れが残っていてもなんとか処理できる。身体だけでなく、指先まで関節が痛む。8時間も魚をさばいていたのだから腰も痛む、、、、、

今年の冬に撮影したフィルムは、先日赤外のシートフィルムを現像したが、今日はアクロスのシート。いままでほとんどのシートフィルムをホーロー製のトレイで現像してきたが、今回実験的に使いはじめるのが、ポラロイドの水洗タンクによるハンガー処理。以前から気になっていたがやっと個数が揃い、実際のフィルムに使用できる。もちろん今は製造されてないのでいろいろな所からかき集め、新品を含め程度の良いものを4個用意した。

シートフィルムの現像方法、、、今までほとんどの方法を試してきたが、全ての処方に適した、、、という方法はない。それぞれの処理で、それぞれの方法がある。個人的に使用頻度の高い皿現像は、専用のホーローのトレイを使用し、撹拌サイクルや、処方によって、薬液の量もコントロールする。この処理のメリットは絶対的な攪拌効率の良さ、一枚ずつ処理する事の利便性、少ない処理液を使い捨てにする経済性などがある。もちろん、一枚ずつ処理するので恐ろしく手間はかかる。

個人的にだが、テスト、本番、細かく調整する現像時間、温度、などを考えると同じ処理が複数続く事は少ないので、この方法は都合が良い。多くの枚数を処理する時は、何組かのトレイを用意して時間差で処理を進める。同時に2枚の処理なら、それぞれの処理液に2枚のトレーを並べて使う事になる。攪拌サイクルにもよるが、4枚以上は同時に処理する事は難しい。

トレイの材質は、ホーローがベストだと思う。形の正確さ、液の滑りの良さ、その硬い感触、など、、、細かな振動がトレイから伝わってくるので暗黒中で薬液の動きやフィルムの動きが指先に感じられる。

手間を考えず、現像の結果だけを判断しても、この方法にもデメリットがある。影響が大きいのは、無攪拌状態での処理の不安定さ、、、処理中のフィルムの乳剤面に直接手を触れなければならない点など。では、同じような観点からハンガー処理のデメリットは何か、、、これも特殊な処理に限られるが使用するハンガーの形状に起因して、攪拌の多い処理、、、たとえば連続攪拌など、同じ場所を同じように薬品が流れる事による現像ムラができてしまう点、、、攪拌の多い処理には向かない。

その他、チューブやドラムによる処理もそれぞれにメリットがあるが、どれも万能ではない。そして今回ポラロイドのラックとタンクを使用する。汚染の出やすいオルソフィルムへの対処として考えたのだが、能力の低い現像液で長時間処理する事も多いので、かなりの期待がある。

まずは、安定性の良いアクロスでテスト。なんだか良い感触。明日からはオルソフィルムのの処理。


02/03 スタジオから戻り、買い物。今回は車でスタジオに出掛けた為、沢山の写真集や資料を持って帰る。自分にはとても大切な物なので運ぶのに気を使い、、、書籍はとても重く何度にも分けて運んだ。70年代に出版された写真集がほとんどだが、当時はとても高価で、購入するには相当の覚悟がいった。改めてゆっくり見るのが楽しみだ。最近は書店で洋書を探す事などまったくないが、、、、、

スタジオでの撮影は書籍の表紙が2本、銀座のスタジオで広告絡みの料理の撮影が1本。機材の量が多かった。搬入搬出で、、、特にスタジオでの積み込みが辛い。駐車違反の監視員が常に視界に入っている。とにかく走る。

そして、自宅に戻ってからはすぐにフィルムの現像、、と、いう考えもあったが、、、、その前にどうしてもやらなければならなかったアンチョビの仕込みを済ませる。良質のカタクチイワシは今が旬でどこの魚屋にも山盛りで売られている。今日購入したものは5キロの箱で1000円、それを2箱だから10キロになる。深夜まで7時間かけて全てさばく。約2ヶ月塩漬けにして、きれいに整え、オイルに漬け込んでさらに数カ月、、、、去年の失敗作から多くを学び、今年は他人に振る舞えるものを沢山作りたい。10キロのカタクチいわし、、、を買ったわけだが、、この時期、けっこうな量のマイワシが混ざっており、実際に仕込めたのは7キロくらいか、、、来週、もう一度仕込まなければならない。マイワシはスペイン風のトマト煮に、、、まず、圧力なべで煮込んだので骨まで食べられる、、、料理でも、、、体力の限界の1日。


更新履歴
mail home