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このサイトでは毎回少しずつ、それぞれ一点の作品について撮影から
現像、プリント迄のプロセスを具体的に解説していきます。

今回はArchive2000 image no.31 撮影日は1999 7月5日
現像は翌日の7月6日に行っています。
ただこの image には2枚のネガが存在しており、風によるブレを避け
るためにT-maxで撮影された予備のネガはー20.cで保存され翌年の
2月22日に現像されています。

メインのネガであるTP4415に加えてT-max、さらにこのプリント
の複写ネガなどのデータも参考に解説していきます。

Print の画像はロールオーバー・クリックで順次拡大されます。
クリックして現れるアイビーの葉脈を見ていただければ解るのですが
この部分のLocal contrast はかなり高い状態をたもっています。
全体的なコントラストは低い状態に保ちながらハイライト、シャドー
の部分的なコントラスト、シャープネスを最終的なプリントで高い
レベルに再現するのにはいろいろな方法がありますが、今回は
Final print
テクニカルパンとPOTA 現像液の特徴を活かした方法を説明します。

main nega tmx nega
Main nega TP4415 T-max nega

最初にTmaxを見て頂きたいのですが濃度的には理想的なネガで
copy nega
ASAは12〜25 現像はTmax developer RS 1:7で17分 濃度は
2.0以内に綺麗に収まっています。
このネガであればややコントラストのある印画紙にプリントすれば
かなりよい結果が得られるのですが、壁、窓枠、アイビーの各部分
はガンマが低く特に画面の中の明暗のゾーンの境界にあたる窓枠の
部分は全体のダイナミックレンジの中でかなりぼやけてしまいます。

メインのTP4415のネガはASA1.5〜3 現像はPOTAで12mn. 濃度は
2.5程度まであり殆どの部分が1.0以上で普通にはプリントに適さない
状態です。しかしこのフイルムは1.0〜2.0のあたりが非常にガンマが
高い特性を持っており現像液が軟調であってもこの部分のガンマは
高い状態を維持されます。
ハイライトにあたる2.0〜2.5の部分はPOTA現像液の特徴が活かされ
濃度が上がってもシャープネスが失われることはありません。
このようなネガのレンジを広げて使う方法はTP4415のような非常に
粒状性能の良いフイルムに於いてのみ有効なのですがシャドーの
ディテールを気にしながらコントラストをつけたい時などには安全策
としても有効な場合があります。
Final print copy nega

さて最後にこのプリントを実際に複写したネガですが、壁の部分はプリントの時に焼き込まれている為にかなり薄く、実際に露光
されたネガではあり得ないコントラストが現れています、窓枠の下の部分はかなり高いコントラストで再現され、テクニカルパン
のガンマとシャープネスはほぼそのままいかされます。濃度の高いネガの高濃度部分を使うプリントはかなり特殊な物なので
引き伸ばしの露光時間やハレーションの影響もあり、あまりお勧めできる物ではありませんが、様々なファクターを考慮した上で
実験的に行えば、多くの種類の印画紙が供給されていますので面白い結果がでる場合もあるかと思います。

最終的なプリントを複写すると言う行為は作品のインデックスを作るために行っているのですが理想的なネガのイメージを把握
する為にいいヒントを与えてくれる場合もあります。もちろんそのようなネガを作ることが目的なので、意識の中にはストレート
にプリントできるネガのイメージは常にあると思うのですが生理的心理的に把握するゾーンの中のLocal contrast はまちまちで
其の為に数多くの方法が研究されてきたのだと思います。
私自身が其のことに気付いたのはBrett Weston のプリントを複写したネガを見た時でネガのコントラストは自分の作っている
ネガと同じであるのに複写したネガは各部分に写っている物が明らかに自分のネガとは違うのです。11x14インチで撮影された 
コンタクトプリントがどうゆう処理をされているのであれ、光線と被写体、感材とプロセスの数多くの組み合わせの中でその
イメージにあった方法を常に模索してゆかなければならないのです。
順序は逆転しますが次に露光、そしてプリントへと少しずつ進めてますので是非ごらんください。

Last update 11/26 .02